パートの年金について

厚生年金加入をパートにまで拡大するという政策については、飲食業や流通業など関係業界からの猛烈な抵抗があって、当初の企画通りには進められていませんが、パート労働者に対する厚生年金保険等の適用拡大の厚生労働省の最終案が明らかされています。これによると、

1.適用基準
①週の労働時間が20時間以上である。
②当面、月額98,000円以上の賃金を得ている。
③1年以上の勤務期間がある。
2.経過措置
当面、従業員300人以下の中小零細の事業所は適用を猶予する。
とされています。

飲食業や流通業など関係業界では多数のパートを雇っている関係上、厚生年金加入が義務付けられるとその半分の会社負担が重くのしかかり、経営問題になりかねない背景がありました。また、加入対象とされるパート勤務者の方でも、毎月の給料から社会保険料が差し引かれて現金収入が減るため、加入に乗り気でない人が多いと言う、双方の利害が一致した結果でもあったようです。

ただ、パートによる厚生年金の支払いの損得については、厚生労働省の試算があります。それによると、サラリーマンの妻のケースなどでは、月収10万円で厚生年金に1年間加入すれば、年間約9万円の保険料負担で、老後の年金額を年約16万円増額できるとされています。

この計算ですと、国民年金保険料を払っている月収10万円の人の場合には、厚生年金加入の方が保険料が安くなることになります。厚生年金は勤続年数と給料の額とで受け取り金額がそれぞれ異なりますが、国民年金よりはるかに受給額は多いです。

たしかに社会保険制度の信頼度は著しく落ちている現状ですが、高齢化社会での老後設計を考える時、多く受け取る仕組みをパートまで拡大していくと言う方針は考えれてしかるべき要素があるといえます。