支給額と受給額

厚生年金を取り巻く現実は非常に厳しいものです。
年金の財政見通しは運用利回りで3.2%としていますが、厚生省2004年度の推計では賃金上昇率の2.1%を使っています。
この厚生省の推計では、2005年度生まれの人では4,100万円の保険料支払で9,500万円の受給が得られ、支払額を受給額で割った倍率が2.3倍となっていますが、現実として企業が支払う分までを含めると、倍率が1を割り込む結果になります。全体としてみてもこの倍率は1を大きく割り込んでいるのです。


厚生年金の支給額と受給額には、厚生年金保険料率の変更などがあるために、世代別に支給額(支払額)と受給額はいろいろと変わってきます。年金基礎部分に関して、2008年現在国庫負担が3分の1となっていますが、2分の1になる予定です。この厚生年金の支給額と受給額の見積もりは、次の基準で算定されています。

・会社負担の保険料は除いて計算されていますから、ここでも保険料負担と年金給付額の倍率が高くなる計算になっています。・保険料支払額は、保険料支払額に65歳までの金利を付けて計算したものを「保険料」、平均寿命まで生きたと仮定した場合の年金受給額を金利で割り戻したものを「受給額」としています。20017年までは年々厚生年金保険料率が変わってきますので、現在の厚生年金法の基準に従った厚生年金の支給額と受給額の見通しを厚生省が2004年に資料を提出しています。

厚生年金給付には国庫負担での補助がなされていますが、これは租税に由来しています。従って保険料負担と年金給付額の倍率計算で倍率が高くなる結果となります。  


厚生年金の保険料

厚生年金保険は、強制的に加入しなければならない公的年金保険です。
(個人事業主や企業に常時雇用される5人以上の従業員)

厚生年金保険法において、2004年2月にこの厚生年金保険料は、改正されています。内容に関しては以下の通りです。

ただし、現実的な話、受給額は過大に見積もられていることは明らかで高齢化が今後進んだ場合、年金会計が困難になることは周知の事実です。

「厚生年金保険料は厚生年金の被保険者となった場合、支払う義務が生じます」
「厚生年金保険料は、労働者の総収入に厚生年金保険料率をかけた額となります。なお、厚生年金保険料は、労使折半となっているので企業が50%・個人が50%を支払います。」
「厚生年金保険料率は2007年9月~2008年8月では総収入の14.996%と決められており、その後毎年9月に料率が0.354%引き上げられて2017年9月の18.30%が最終の料率となっています。」

厚生年金保険料は、現在国民年金・共済年金との3つの年金保険体系となっていますが、2017年には国民年金と厚生年金の2本になることが決められています。

年金については、今まで積み立てられた保険料を運用していて運用利益での支払と考えている人もいるようですが、実際には現在労働者が支払っている厚生年金保険料などを年金の支給に当てているのが現実です。  


厚生年金保険とは?

厚生年金という言葉は、毎日のように新聞に載っていますね。
正式には”厚生年金保険”といいます。
年金保険のことよく知っているようで、詳しい方って少ないんじゃないでしょうか?

年金の保険は、”国民年金保険”との2種類がありますがこのうちの一つ、
”厚生年金保険”は「主として日本の民間企業の労働者が加入する公的年金制度」なんです。

どういう保険かと言うと、年金の加入者とその遺族に「障害年金」、「遺族年金」、「老齢年金」が支払われます。

これらの厚生年金保険料の徴収や厚生年金の支払いについては厚生年金保険法によって定められています。この厚生年金保険の起源は、1942年に施行された「労働者年金保険法」で、戦時下の労働力の増強確保並びに強制貯蓄堤機能を期待されたと言われていますが、手っ取り早い戦費調達手段であるという意見もあります。

一般の厚生年金被保険者は、厚生年金保険料として収入の一定割合を徴収されることと定められていますが、その保険料の半分を企業(雇用主)が支払うことになっていますので実際の労働者の負担金額は少なく感じるようにされています。

厚生年金は、固定部分(国民年金分に相当)と報酬比例部分に分けられますが、保険料がどのような割合で振り分けられているのかは明らかになっていません。

厚生年金保険は、法人事業所は常時雇用する従業員の人数に拘わらず必ず加入することが義務づけられています。また個人事業の場合でも、常時雇用する労働者が5人以上になると強制加入が義務づけられています。個人事業主の場合は、個人事業主本人は厚生年金保険には加入できません。